2014/09/12(金)14:00~17:00に開催された『マネジメントデザインセンター公開講座「ビジネスマネジメントの新潮流」』に参加してきました。
以下、講演中に取ったメモをそのまま貼り付けておきます。
イベントの募集概要(募集サイトより引用)
14:00- 14:20 マネジメントデザインセンター代表あいさつとセンターのご紹介
当麻 哲哉 准教授14:20-15:00 『人的資源管理(Human Resource Management)による組織活性化の実践』
高野 研一 教授
「組織風土と業績および社員満足度の関係について最近の研究成果を紹介するとともに、企業の抱える問題点とリーダシップ訓練・チームワーク訓練による改善について述べる 」15:00-15:50 『イノベーション・マネジメント』
富田 欣和 特任講師
経営においてイノベーションにどう向き合うのかは最重要課題となっている。本講義では「イノベーションはマネジメント出来るのか?」という観点から、「イノベーション・マネジメント」の基本的な解説を行うとともに、慶應SDMで行っているイノベーション創出のための教育、研究、実践活動による事例紹介を行う。15:50-16:40 『持続可能なものづくり』
中野 冠教授
「人々は豊かになり現在だけでなく将来も豊かな社会が続くことを望んでいる。この観点から「ものづくり」はどのように貢献できるであろうか、本講義では「持続可能なものづくり」の基本的な解説をすることを目的とする。持続可能性の定義を説明したうえで、グリーン、リスク、競争力の観点からものづくりを俯瞰する。」
17:00-18:30 ネットワーキング(参加費別途)
講師および参加者同士の交流会を実施します。
※ 『イノベーション・マネジメント』と『人的資源管理(Human Resource Management)による組織活性化の実践』の講演順序は入れ替わって実施されました。
イノベーション・マネジメント
- アイスブレイク
- [Q] あなたが車をドライブする時、必要な情報は何ですか?
- [Q] あなたがサーキットで車をドライブする時、必要な情報は何ですか?
- 目的が違えば、考え方も、やり方も、必要な情報も変わる
- [P4][P5][P6]イノベーション・マネジメントの基礎
- イノベーションとは何か?
- Innovare = To make something new
- 何か新しいことをしよう
- イノベーションにおける3つのハードル
- 技術のハードル
- 事業家のハードル
- 普及のハードル
- イノベーションとは、機会を新しいアイディアへと変換し、さらにそれが広く実用に供せられるようにする過程である
- 創新普及
- イノベーション・マネジメントの研究領域
- イノベーション創出活動のライフサイクル
- イノベーションをマネジメントする視点
- イノベーションのライフサイクルと視点の関係性を考慮したマネジメントの考え方とやり方
- イノベーションとは何か?
- [P7] イノベーションプロセス
- Search
- イノベーションの種やきっかけを見つける
- 機会の発見
- Select
- どの機会を、なぜ実行するのか選択する
- 機会の選択
- Implement
- 選択した機会の実行方法を考え実行する
- 機会の実行
- Capture
- 実行の結果を享受し、次に向けて検証する
- 結果の収穫
- Search
- [P9] C.クリステンセン 『破壊的イノベーション』
- [ローエンド型破壊] 過保護にされた顧客を攻略
- 既存顧客が利用または吸収可能な性能 → 低い価格で顧客が満足する・利用可能なものが出てくると、勝てなくなってくる
- [新市場型破壊] 無消費への対応
- 競争軸を変えて、新しい軸で勝負するという選択もイノベーションの一つ
- [ローエンド型破壊] 過保護にされた顧客を攻略
- [P10] V.ゴビンダラジャン 『学習・忘却・借用』
- 学習
- Unlearning: 今まで馴染んだやり方とは違った方法を「学習」
- 創造性を必要とする事業におけるルールやマネジメントスタイルの構築
- 新しい組織文化の構築(スピード感、挑戦)
- 忘却
- 従来のやり方や考え方を「忘却」
- 既存の会社・事業における構造(顧客・商品・販路)
- 既存の時間軸、意思決定ルール、書式その他の多くの概念
- 借用
- 既存の資産を「借用」して立ち上げをスムーズにするしたたかさ
- 既存事業における経営資源の借用(顧客・チャネル・ブランド・製造能力・技術・その他)
- 目的、環境、フェーズにおいて、減点主義か加点主義のどちらかを選択
- コードA 規律・効率<減点主義>
- コードB 創造性<加点主義>
- 学習
- [P11] イノベーションをマネジメントするには
- 全体構造は意図的にデザインし、結果は創造的に創出される
- イノベーション創出活動のライフサイクル
- イノベーションをマネジメントする視点
- イノベーションのライフサイクルと視点の関係性を考慮したマネジメントの考え方とやり方
- 全体構造は意図的にデザインし、結果は創造的に創出される
- [P13] イノベーション・マネジメントの課題
- 実践では、理論では学習できない事柄(e.g. 様々な間接的条件、環境要因、因子)について、自ら感知、判断、決断して進めていかなければならない
- 理論と実践の乖離:理論では見えてこないが、実践は不良定義問題を解いていくようなプロセス
- [P14] C.クリステンセン 理論と実践の乖離
- 既存の主要顧客が重視する性能 → 「利用・吸収可能な性能のレベルがわからない」
- 異なる性能尺度 → 「シフトすべき性能がわからない」
- [P16] 事業性評価の罠
- 市場が定義できないイノベーション創出活動の初期段階で、事業性の評価を行ってしまう
- イノベーション創出のライフサイクルと、事業性評価の間にはズレがあり、面白いアイディアが育つ前に否定される
- Value Proposition 検討&検証
- Unit Economics 検討&検証
- Maketability 検討&検証
- Profitability 検討&検証
- [P18] イノベーティブな製品・サービスを生み出すための活動
- イノベーションを創出するためには、多数のアクティビティが必要となる
- 目的に合わせてアクティビティを組み合わせる設計力が求められる
- イノベーション創出アクティビティの例
- 調査
- ワークショップ
- 基礎研究
- レクチャー
- 会議
- etc...
- [P19] 複数のアクティビティを組み合わせる
- どれかひとつの方法だけでイノベーションが起こることは稀で、複数の方法を組み合わせる必要がある
- [P20] システムとして観る、とは
- 全体俯瞰
- 構成要素のつながり
- 全体俯瞰と構成様相のつながりを意識して、他視点から構造化し、可視化する思考様式
- 多視点
- 構造化
- 可視化
- [P21] イノベーション創出活動の基本構造
- 目的レイヤー
- イノベーション創出
- プロダクトイノベーション
- プロセスイノベーション
- パラダイムイノベーション
- ポジションイノベーション
- イノベーション創出
- 方法論レイヤー
- Analytics
- Syntesis
- 手法レイヤー
- システムエンジニアリング → ロジックっぽい
- デザイン・シンキング → ロジカルに考えられる人がやらないと意味がない
- ロジカル・シンキング →
- 実行ツール
- レクチャー
- コラボレーション
- ワークショップ
- 会議
- 基礎研究
- プロトタイプ
- 学会
- フィールドワーク
- etc...
- 業種を超えたイノベーション創出方法論の教育・研究・実践が可能
- デザインマネジメント:コンセプト創出→プロダクト設計→プロモーション戦略
- 事業性評価:Unit Economics検討→Marketability検証→Profitability検証
- 目的レイヤー
- [P25] まとめ:イノベーション創出活動からの知見
- 自分たちなりの"Innovation"の定義をもつ
- 自分たちで"Innovation"を"定義することで、プロジェクトのスコープが明確になる
- プロジェクトに"Sense of Ownership"を持てるので、チームのモチベーションが高い
- Value Propositionの探索を重視する
- 通常の事業性評価と予測ができないイノベーション創出活動を、同じ時間軸で計らない
- 特にプロジェクトの初期では、"市場規模"ではなく"価値の波及範囲"を考える
- 過去にやったワークとして「何も資料を見ずに、小学生でもわかるようにイノベーションを説明してください」
- 「その価値って、どのぐらいの人に波及するの?」
- 自分たちなりの"Innovation"の定義をもつ
- [P26] 現場の努力でイノベーションが起こることはない
- 組織デザインがトップダウンで行うことが必要
- 現場のイノベーターが社内の反対を押し切ってイノベーションを創出するというのは、神話
- イノベーションが産まれやすい環境を整備するためには、イノベーション創出活動を設計する必要がある
- 適切な組織デザイン
- マネジメントによる支援
- 現場でのイノベーション創出活動
- [P27] まとめ
- イノベーション創出とは、uncertainty(不確実性)と共にあり、ある意味で常に他社から観るとuncertainな方向へ漕ぎだしている
- 実践者本人はuncertainな方向性であり、それが自分の進んでいる方向が、他社から見てuncertainであることをかなり短いサイクルで常に確認し続けている(iterativeに考え続けている)
- 予測、計画が非常に困難であるがために、唯一の生き残る方法はuncertainな方向であることをかぎ分けることと、ものすごくiterativeに「感じ」「考え」「修正」すること
人的資源管理(Human Resource Management)による組織活性化の実践
- [P2] 「企業のパフォーマンス」と「組織風土・文化」には相互関係がある
- 企業のパフォーマンス向上
- 安全パフォーマンス
- 業績パフォーマンス
- 組織風土・文化
- 人的資源管理
- 意識改革
- 組織・職場・人材活性化
- 企業のパフォーマンス向上
- [P3] 人的資源管理のパフォーマンスへの波及モデル
- Level 0 企業パフォーマンス
- Level 1 行動
- Level 2 意識
- Level 3 人的資源管理 (← 組織としての介入)
- Level 4 組織風土・文化
- 社会環境
- [P4] I. 安全パフォーマンスの向上
- 安全文化とは、すべてに優先してプラント安全の問題が、その重要性にふさわしい注意が払われることを確保する組織、および特性と姿勢を集約したものである
- [P6] 安全文化とはなにか
- 8軸からなる主要な構成要素
- 組織文化の基盤
- 動機付け(モチベーション)
- 組織統制(ガバナンス)
- 責任関与(コミットメント)
- 相互理解(コミュニケーション)
- 業務運営の基盤
- 危険認識(アウェアネス)
- 学習伝承(ラーニング)
- 業務実施(ワークプラクティス)
- 資源配分(リソースアロケーション)
- 組織文化の基盤
- 8軸からなる主要な構成要素
- [P28] チームワークを構成する5因子
- チームメンバーへの関心
- チームメンバーへの業務上の関心や適切な情報伝達
- 開放性
- 積極的な学習や、分け隔てないコミュニケーション
- 斉一性
- チーム内での人間邸奈信頼による団結、目標の共有と理解など
- 挑戦と多様性の許容
- 積極的な挑戦や、チーム内での対立を恐れずに議論を進める態度
- 助け合いと調整
- 仕事の分担の調整や、相互補完関係、問題発生時の適切な対処
- チームメンバーへの関心
持続可能なものづくり
- [P2] はじめに
- 人々は豊かになり、現在だけでなく、将来も豊かな社会が続くこと(持続可能社会)を望んでいる
- 「ビジネス」は「接続可能社会」にどのように貢献出来るだろうか。「持続可能なビジネス」とは?
- 本講義では、ものづくりに注目して、持続可能なものづくりの基本的な解説をすることを目的とする
- 「持続可能性」と「持続可能なものづくり」の定義を説明したうえで、グリーン、リスク、競争力の観点から、ものづくりを俯瞰する
- [P3] 持続可能性社会の問題
- エネルギーセキュリティ
- 少子高齢化、財政、社会福祉
- 都市と田舎
- [P4] エネルギーセキュリティ
- Acceptability: 原子力の受容性、環境問題
- Affordability: 貿易赤字、再生可能エネルギーのFIT
- Efficiency: 省エネ・低炭素製品普及(環境自動車)
- Availability: シェール革命、石油・天然ガス輸出国
- Competitiveness: 環境技術の海外ビジネス
- 政策、経営、生活に関わる、大規模・複雑・長期的なシステム問題
- [P5] SDM,MBA,MOTとの違い
- 包括的な視点
- 多角的視点
- 中長期的視点 → 持続可能性には中長期的視点が多く含まれている
- [P7] 持続可能性の定義
- ,, Sustainable development is development that meets the needs of the p
- 現代の人たちが幸せになって、将来の人たちが我慢するものは、持続可能性とは言わない
- 現代の人たちが我慢して、将来の人たちが幸せになるものは、持続可能性とは言わない
- 中長期的な視点、将来をシミュレーション、将来をデザイン
- economical, green, social(QOL, Resilient)を含む
- Policy, Business, Technology
- マルチステークホルダ-(官公庁施策、生活者、技術・システム開発、の3者間で、社会と技術のシステムデザインを行う)
- [P11] 持続可能なビジネス
- 持続可能社会のためのものづくり
- 社会・技術アプローチ: 環境自動車ポートフォリオ問題
- ビジネスとしての持続可能性
- 企業リスク: 自動車業界リスク
- 産業競争力: スイスを例として
- 持続可能社会のためのものづくり
- [P37] 経営研究方法論(社会科学・経済学および工学の方法論)
- フィールド調査、サーベイ:定性的(質的)<>発見型:知識のない場合
- データ分析、測度: 定量的<>仮説・検証型:予備知識のある場合
- ミクロ経済学、ゲーム理論:原理的<>最適型:理想化する場合
- 文献調査、見える化、エスノグラフィ(民族誌学的行動観察)、事例研究
- 事例研究、記述的推論、因果的推論
- 統計分析(相関、回帰分析、因子分析)
- モデル&シミュレーション(確率モデル)