2015/12/13(日)に開催された『12/13開催:カンヌ国際広告祭グランプリ受賞プランナー:宇佐美清が教えるブランディングBASIC講座』に参加してきました。
ブランドとは何か?
「所有・差別化」 → 「価値の主張」
- 所有が進んだときに、差別化が必要になってくる。これは今も昔も変わっていない。
- 差別化要素をいかにみつけるかが、ブランドの確立に繋がる。
- 今は「独自の価値」をどう定義して、どう「認知」してもらうか、が重要になってきている。
- 「好感」「共感」をいかに残すか、を考える際、よいコミュニケーションを行うことが前提になる。
価値とは何か?
- 1.価値とは値打ちのこと。
- 「対価を払う値打ちがある」
- 対価 = 貨幣/労力/時間などのコスト。
- 機能価値に近い。
- 2.価値とは、ありがたみのこと。
- 「ありがたい、かけがえのない」という思い。
- 情緒価値に近い。
- 値打ちも、ありがたみも、好感を伴う。
- 好感を抱く、その元をたどると、値打ちがあったり、ありがたみを感じていたり。
- ブランドの価値は、人が創り出す価値である。
- 意図的、恣意的。
- 創るのは、どんな交換なのか、値打ちなのか、ありがたみなのか?
- 製品とブランドは、違う。
- 製品に、値打ち、ありがたみを付加することで、ターゲットに好感を抱いて貰えれば、ブランドになる。→購買動機
- ブランドとは、消費者の好感、値打ち、ありがたみである。
- ブランドは、消費者の気持ちのなかに存在する。
- マーケティングとブランディングはどう違うのか?
- 諸説ある。
- 根っこは同じだが、諸処「異なる」。
- マーケティングは売る側の言葉(販売促進型)。
- ブランディングは買う側の言葉(購買促進型)。
- マーケティングの歴史は長く、最初は消費者について考慮されていない
- T型フォードを買う人は、どの色でも好きに選べる。それが黒色である限りは・・・・
- 理由は、消費者配慮がなくても、売れたから。
- マーケティングは、その後、消費者に注目しつつ発展する。
- 4Pマーケティング = プロダクト、プライス、プレイス、プロモーション
- STPマーケティング = セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニング
- 米国経済学者コトラー マーケティング1.0/2.0/3.0(共生、社会貢献的なマーケティング)
- なかでも「プレイス」がかなり変わっている。
- マーケティングは、主に環境整備から購買促進する。
- 「マーケティングの目的は、売り子を不要にすること」P.ドラッカー マネジメント[エッセンシャル版]より
- 4Pは、消費者にとっての環境(外的要因)である。
- 消費者が、思わずブランドに手を伸ばす環境整備を重視する、売り手から見た購買促進といえる。
- 一方、ブランディングは、消費者の心の中にブランドを築き、買ってもらうことを重視
- つねに買い手側の意識・気持ちの動きから、ブランドを見ている → 共感・好感を作る。
- 消費者のインサイトを重視しながら、共感・好感をつくり、思わず買ってしまう心理をつくる。
- 消費者の心理を無視してモノがうれなくなった。
- 特に、1995年以降、その傾向が強い。
- ブランディングは、起きてきた問題を解決する「問題解決」である。
- 消費者に起きた問題に対して、ブランドとして売り込んで、消費者に取り込んでもらう。
- マーケティング(環境整備)と、ブランディング(好感・共感の獲得)をかけ算にできれば、ベストブランドがうまれる。
- ブランドを、世の中・時代とともに変えていく。
- ぼくらが、ブランドを通して、世の中・時代を変えていかなければならない。
- 例)コンビニコーヒー
- 缶コーヒーが売れなくなったため、砂糖の消費量が激減した
- セブンカフェ、どうなる?
- 心斎橋の例)本屋かコンビニか?(24時間営業)
- 在庫を持たない。1冊売れたらおしまい。
- 花屋も変わる) Aoyama Flower Market 駅のそばで店が小さい、従業員が少ない、冷蔵装置を持たない、茎を短くして枯れにくくしている。
- クルマはどこに行くのか?(水素燃料、ミラーレス)イワタニ、エネオス、トヨタ
- F015という自律運転(自動運転ではない)自動運転は技術だが、自律運転は人間が中心。
戦略と戦術
- 戦略とは何か?
- 戦略は、兵法が起源
- 「平は欺法なり」孫子
- 目的は勝つこと「戦う前に、勝つ作戦を立てること」
- やってはいけないことを、はっきりさせる。
- 無謀・無策で、偶然や幸運に頼るな。
- 戦わない、戦わずして勝ちを得ることを最優先する
- 勝つことが目的。
- そのために、すべきこと、してはいけないことの明確化。
- 考え・企て・知恵・目論見。魂胆。
- 戦略は文章化する。
- 戦略は、文章で表す。A4で1枚~2枚。
- 平易で、誰にも誤解がない文章が求められる。
- 文章の基本は、論理と一貫性。
- 説得し、納得させるチカラがないと意味がない。
- さらに、アイディアを一言で伝える。
- 戦術とは、戦略を実現する戦い方
戦略をつくるための、具体的なノウハウ
- ブランディング7ステップス
- モノゴトを深く考えるためのやり方
1.ブランドの価値
- 機能価値
- 「どんないいこと(機能)をしてくれるのか?」に答える価値。
- 製品の機能的事実から発生した価値。
- 消費者にとっての機能に、付随する価値。
- 製品が、ブランドになるための、機能的差別化ポイント。
- 機能に基づくから機能価値
- 機能とは、製品が持つ「事実」
- 「事実」があるから、機能価値がうまれる。
- RTB(Reason To Believe)とも言っている。
- 消費者が価値を信じることができる理由。
- ブランドの大元。
- 事実をきちんと書いたファクトブックを作る。
2.ブランドの価値
- 情緒価値
- 機能価値から発生する。
- 好感や共感を生む気持ち(情緒・感情)につながる価値。
- 類似(機能)製品が氾濫する現実での、実質的な差別化ポイントになる。
- 「どんないい気持ちにしてくれるのか」に対する答え
3.ターゲット
- ターゲット概念は、二重構造で考える。
- <1>マーケティングターゲット
- 購買可能対象のこと。(消費対象ではない。)
- 買って貰える可能性がある、すべての人たち。
- マーケティング・ターゲット全員に、コミュニケーションすることはできない。
- 例)キットカットのマーケティング・ターゲットは誰か?
- 6歳~80代まで、買ってくれる。ただし、消費者は若い人だけ。お年寄りは孫のために買うが、自分は消費しない。
- <2>コミュニケーションターゲット
- マーケティング・ターゲットのコア
- ブランドを好きになって買ってくれる人は誰か?
- コミュニケーション効率(ROI)がいいのは誰か?
- 例)キットカットのコミュニケーションターゲットは誰か?
- 100円チョコを良く食べる人たち。上ほぼ2種類は
- 大事なのはコミュニケーションターゲット(CT)。
- <1>マーケティングターゲット
- 買ってくれる人と、使う人が一致するとは限らない。
- ランドセルは、6ポケット。
- 買うのはおじいちゃん・おばあちゃん。使うのは子供。
- 化粧品・ジュエリー。
- ギフト市場を忘れてはいけない。
- マーチのようなファミリーカー。
- 買うのはお父さん。乗るのは嫁と子供。お金を出す人と、何を買うかを決定する人が異なる。
- ランドセルは、6ポケット。
4.インサイト
- コミュニケーション・ターゲットの本音。
- CTが、こころの中にしまっている気持ち。
- 習慣は、インサイトに基づいていることが多い。
- ゲンカツギも、インサイトに関連することが多い。
- インサイトには、3種類ある。
- 1.時代・社会インサイト
- 時代のながれ、社会的潮流などが、指す示唆や方向性なぢ。そこに人々が共感して感じているインサイト。
- 2.世代インサイト
- その世代に特有のインサイト。
- 3.カテゴリー・インサイト
- そのブランドが所属する、カテゴリーのインサイト。あるいは、ブランドそのものが所有するインサイト(歴史的インサイト)。
- 1.時代・社会インサイト
- インサイトを同心円で見る。
- カテゴリーインサイト→世代インサイト→時代・社会インサイト
- ネガティブインサイトに注目せよ。
- 花があると、癒やされる(ポジティブインサイト)
- 裏側にネガティブインサイトがある。
- 花は高価、花より団子。花は手入れが面倒。花は、すぐに枯れる。花屋までわざわざ出かけたくない。
5.ブランド・パーソナリティ
- ブランドを規定する
- コミュニケーションのトーン&マナーを、規定する
- 基調、雰囲気、空気感になる。
- ブランドを人にたとえたときに、どんな性格か?形容詞3~5語で定義。
6.ブランドパーセプションゴール
- こう思われたらいいな、という目標
- 欲張ってはいけない、人は一つのブランドについて、一つのことしか覚えていない。
- 文字を消せるボールペン(今までに存在しない)
- 受験を応援するチョコレート(新しい付加価値)
7.ブランディング・アイディア
- ブランドが持つべき新しい価値
- そのブランドを好きになってもらえるか?
- ファンになってもらえるか?
- 世の中に提案すべき新しい価値は何か?
- 新しい価値はどこにある?
- 新技術がある=新機能=機能価値
- ハイブリッドエンジンの開発
- 新しいベネフィット=情緒価値で差別化しなくていいのか?
- ネガティブインサイトを見る
- 花は高い、安くする。どうするか?=戦術
- 花はすぐ枯れる、枯れにくくする?=戦術
構築すべきブランドの世界観
ブランディングとは
- 1.好きに鳴って購買してもらえるように、ブランドをつくりこむこと
- 2.好感の高い、一貫したブランド固有のイメージを、構築し続けて、ファン・ロイヤルユーザーをつくること
戦術=ターゲットと戦略の設定
- 何をもって勝利とするのか?
- 誰をどうしたいのか? 明確な勝利の規定が必要。
- 何個買わせたいのか?何億利益を出したいのか?
戦略とはなにか?戦術とはなにか?
- 戦略=「目的」が必須で、目的達成のための方向性、方策を示すもの。
- 戦術=「敵」の攻略、攻撃の方針。
- 戦法=実際の攻撃方法、武器。
マーケティングの戦略と戦術
- 写真内のTはターゲット
- ビジネス上の敵=ターゲット=買ってもらいたい人
- ビジネス上の目的の99%は、利益を獲得すること。
- ビジネス上の「勝利」=ターゲットに購買させること。
- 認知、ブランド価値向上、社会貢献、、、最終的には利益のため。
戦術の原則
- 1.目標の原則
- 2.統一の原則
- 3.主導の原則
- 4.集中の原則
- 5.奇襲の原則
- 6.機動の原則(早さ)
- 7.経済の原則(予算)
- 8.簡明の原則(奇抜、大胆、冥界、新鮮)
- 9.警戒の原則(油断をしない)
ケーススタディ
- 『堀江貴文のカンタン儲かる会社の作り方』
- 発売部数20万部以上
- 成果:出版社の利益1億円以上
- ライブドア株券プレゼント+PR
- ライブドア証券、堀江氏との協業
- 金融庁・財務省との折衝
- 発売3か月で13万部
- 応募はがき3万通
- 帯に応募券をつけて、はがきに貼って郵送してもらった
- 景品表示法のクリアが必要だった
- 初版が3万部以上じゃないと、総額50万円のプレゼントができなかった
戦術論まとめ
- 戦略と戦術は両輪。
- ビジネスに不可欠なモノ。
- 戦略がないと、成功は単発で終わる。
- 戦略がないと、失敗したときに何が失敗したのかわからない。検証ができない。
- 重要なのは、どんな武器なら相手を確実に倒せるのか、ということ。
- 商品を購買させる場合は、誰がどう認知して、その商品を欲しいと思い、どう入手するのか?
-
リアルな現場を想像する(立ち戻る)必要がある。
-
敵(ターゲット)を知ること。
- 売り場(戦場)を知ること。
- 商品(兵士・武器)を知ること。
Webマーケティング戦術Tips
- ブランド戦略を体現するために、いかにネットで火を付けていくか。
- そのためには、いかを意識することが重要。
- 1.Facebook
- 最初に反応を検証するのであれば、Facebookを活用。
- ターゲットを特定して、コミュニケーションを図ることができる広告手法。
- 年齢、性別、学歴、興味・関心などのさまざまなセグメントを細かく設計することが可能。
- 2.Instagram
- 自社の製品・サービスを伝えるためには、ユーザーの使い方を見せるのが早い。
- ユーザーが勝手に写真をUpしてくれる。それを紹介していく。
- ユーザーに使い方を意図的に示してあげる。
- 3.外部ライター
- 外部ライター自身がさまざまなチャネルを持っている。
- 外部ライターと連携する仕組みを取り、他メディアに乗る可能性を高める基盤作りをすべき。
ファクトブック
- ファクトブックとは?
- 事実を伝える、本質を知る
- 一般的に、「ファクトブック」と言われるモノは、業務動向や財務内容等が記載されたIR資料
- ファクトブックをつくるメリット
- メディア向けプロモート資料
- その商品・サービスの概要・特性などが深く理解できる。
- 社外向け資料として、消費者・取引先・投資家などにも有効に活用可能。
- 社内向け情報共有資料
- メディア向けプロモート資料
- ファクトブック事例
- イオン「敬老の日 GGデー」ファクトブック
- S&B きざみわさびファクトブック
- メットライフアリコ生命保険「最新がん保険事情」がわかる情報ファイル
- ソニー銀行 外貨預金ファクトブック
- ハーゲンダッツ パーフェクトブック
- VISA ファクトブック